法律事務所と消費者金融業者との密約
2013年3月25日 カテゴリ:弁護士
TV等でもいろいろと宣伝されている過払金返還請求に関して、法律事務所と消費者金融業者とが包括的な密約を結び、返還金額を減額して手早く和解するといった一部の債務者に不利益な処理を行っていたことが明らかになったようです。(朝日新聞デジタル)
このような密約は、大量に集客して大量の案件を抱える法律事務所にとって、その事務処理をスムーズに進められる点においてメリットがあり、また、返還金額を圧縮できる消費者金融業者にもメリットがあります。他方で、密約の存在を知らずに返還金額の減少を余儀なくされる依頼者にとってはデメリットしかありません。
法律事務所(弁護士)が紛争の相手方とこのような密約を結ぶことは依頼者に対する背信行為以外の何ものでもなく、決して許されるものではありません。
こういった密約締結に至る原因は、一部の法律事務所が採用している、活発に広告宣伝を利用することによる過払返還金請求事件の大量集客、大量処理という手法にあるように思います。(全国から広告で過払金返還請求事件の集客をしている法律事務所のすべてが密約を締結しているという趣旨ではありません。)
積極的な広告宣伝により過払金返還請求を行っていた一部の法律事務所が、過払金案件の減少に伴って交通事故等の他の分野にも広告宣伝の対象を広げているようですが、弁護士の仕事は基本的には大量集客、大量処理には適さないものではないかと私は考えています。