法律ブログ
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自己破産について

2016年2月25日 / 

 自己破産とは借金の総額が多額になるなどして借金の支払いができなくなった場合に、裁判所に対して自ら破産の申立をすることを言います。
 自己破産により免責許可決定が確定すると借金の支払いをする必要がなくなります。

 ただし、マイホームや高価品などの一定の財産は手放すことを余儀なくされます。(すべての財産を手放さなければならないわけではありません。)また、特定の債権者だけを特別扱いすることは許されません。例えば、友達の借金だけは返したいなどということは通用しません。

 破産手続きには破産管財事件(「管財事件」ともいいます。)と同時廃止事件(「同廃事件」ともいいます。)があります。管財事件の場合、裁判所から破産管財人が選任されて破産手続きを進めていくことになります。管財事件の場合には裁判所に一定の予納金を支払う必要があります。事業者や会社代表者、一定額以上の財産を有する者、免責許可に問題があると考えられる者等は原則として管財事件として処理されることとなります。

個人再生について

2016年2月25日 / 

 個人再生は借金の支払いが困難になった場合に、借金を減額したうえで一定期間内(3年~5年)に借金を弁済していく計画(再生計画)をたて、再生計画どおりに借金を返済していく制度です。再生計画どおりに借金の支払いを終えれば、減額分の借金は一切支払う必要がなくなります。ただ、個人再生は自己破産と異なり、借金の返済を予定しているので、一定の収入があることが必要となります。

 個人再生の最大のメリットは住宅資金特別条項を設定することによって、マイホームを手放すことなく借金の整理が可能となる点です。(マイホームに住宅ローン以外の担保権が設定されている場合等一定の場合には不可能ですから注意してください。)

 住宅ローン債権者からリスケジュールを断られた場合、期限の利益を喪失した場合、保証会社による代位弁済が完了した場合、住宅ローン債権者から競売を申し立てられた場合にも住宅ローンの支払予定を新たに組み替える等によってマイホームを守ることができる余地があります。(ただし、保証会社による代位弁済完了の場合、競売を申し立てられた場合は一定期間経過してしまうとマイホームを保有し続けることはできません。該当する方は急いで対策を検討してください。)

 なお、個人再生も自己破産と同じく、特定の債権者だけを特別扱いすることは許されません。

任意整理について

2016年2月25日 / 

 任意整理とは、弁護士が債務者の代理人として貸金業者等と交渉し、返済額や弁済条件について合意したうえで借金の支払いをしていく手続きです。あまり好ましくはありませんが、自己破産や個人再生の場合と異なり、特定の債権者(例えば、友人・親戚)だけを除外して処理することも可能です。

 借金の解消という観点では、自己破産や個人再生のほうが通常優れています。ただし、任意整理の過程で貸金業者から取り寄せた取引履歴をもとに利息制限法上の利息に引き直し計算して借金がゼロになったり、逆に、貸金業者に払いすぎた利息の返還(過払金)を請求することができる場合もあります。

借金の消滅時効

2017年6月7日 / 

 借金は弁済期又は最終の返済から一定期間が経過すると消滅時効が成立します。
 ここでは債権の種類ごとに消滅時効期間を整理しておきます。
 (ここで言う債権は貸金に限定し、例えば、卸売業の売掛金や飲食店のツケ払い等といったものを除きます。これらについては民法上、別途短期消滅時効の規定があります。)

 

消費者金融業者が貸主である貸金

 貸主が消費者金融業者である場合、貸金業者が会社なのか個人なのかで時効期間は異なります。
 貸金業者が会社である場合の時効期間は5年、個人である場合の時効期間は10年になります。
 ただし、個人である貸金業者が貸主の場合であっても、商人の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。

 

銀行が貸主である貸金

 銀行は会社であり商人ですから、銀行が貸主である貸金の時効期間は5年になります。
 なお、銀行が債権を消滅時効にかからせてしまうことは通常ありません。

 

信用金庫が貸主である貸金

 判例上、信用金庫は、商人ではないとされています。したがって、信用金庫が貸主である貸金の時効期間は10年になります。
 ただし、信用金庫が貸主の場合であっても、商人である会員の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。例えば、個人事業主や会社が信用金庫から事業資金を借り入れたのであれば、貸金債権の時効期間は5年です。

 

住宅金融支援機構の住宅ローン

 住宅金融支援機構は商人ではありませんので、住宅金融支援機構の住宅ローンの時効期間は10年になります。

 

判決が確定した場合の時効期間の伸長

 債権者が債務の弁済を求める訴訟を提起したときは、その時点で消滅時効が中断します。いったん時効が成立していた場合にも判決が確定してしまうと、消滅時効の主張が妨げられる結果、消滅時効の効果を享受できません。
 判決が確定した場合、さらに10年が経過しないと消滅時効は成立しません。

慰謝料

2016年2月19日 / 

 離婚による精神的損害について慰謝料を請求することができる場合があります。男女の別れには心の痛みを伴うもので、離婚する場合に常に慰謝料が認められるというわけではないことには注意が必要です。
 慰謝料が認められるのは婚姻関係を破綻に至らしめた原因が一方当事者に存在する場合(わかりやすい例が、不貞行為やDV)に限られます。離婚原因が単なる性格の不一致では慰謝料が認められることは困難でしょう。

 慰謝料の金額について、人の心の痛みをお金に換算することは容易ではなく、一概にその金額を確定することはできませんが、例えば、東京家庭裁判所における平成16年4月から平成17年8月までにおける慰謝料の認容額は300万円までが最も多いようです。(東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情・判例タイムズ社)800万円程度の慰謝料が認められたケースがある一方で、慰謝料を100万円以下とするものも決して少なくありません。
 法律的には慰謝料請求が可能であっても、相手方に全く資力がない場合にはその権利実現が困難となることもあります。

 配偶者が不貞行為を行った場合で離婚にまで至らなくても、配偶者や不貞行為の相手方に慰謝料を請求することができます。もっとも、離婚した場合(婚姻関係が破綻した場合)に比べて慰謝料の金額は一般的に少額になります。

不貞行為が原因で離婚する場合の慰謝料

2017年7月18日 / 

 離婚慰謝料の発生原因となる不貞行為は、相手方配偶者と不貞行為の相手方の共同不法行為として構成されます。(なお、不貞行為により離婚しない場合も同様の法律構成となります。)
 そのため、配偶者と不貞行為の相手方は連帯して慰謝料の支払い義務を負うことになります。(不真正連帯債務といいます。)

 例えば、慰謝料(精神的損害)が200万円発生した場合、配偶者と不貞行為の相手方はともに200万円全額の支払い義務を負うことになります。もっとも、ここで気をつけなくてはいけないのは配偶者と不貞行為の相手方両者にそれぞれ200万円の支払いを請求(合計400万円の請求)できるわけではないことには注意が必要です。
 配偶者が200万円全額を支払ってしまえば、不貞行為の相手方の支払いは消滅することになります。(借金における借り主と保証人のような関係をイメージするとわかりやすいと思います。)

離婚慰謝料の和解条項

2017年5月25日 / 

 離婚慰謝料の和解条項としては、以下のようなものが考えられます。(離婚を伴わない不貞行為を原因とする慰謝料請求の場合にも使えます。)

例:甲は、乙に対し、慰謝料として、金●●●万円の支払義務のあることを認め、これを平成●●年●月●日限り、持参又は送金して支払う。

 

 家庭裁判所の調停では、あらかじめ振込先口座を調停条項で特定してしまうことが多いです。この場合、振込手数料の負担は原則として支払者です。

例:甲は、乙に対し、慰謝料として、金●●●万円の支払義務のあることを認め、これを平成●●年●月●日限り、甲名義の○○銀行××支店普通預金口座(口座番号1234567)に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は乙の負担とする。

 

 不貞行為の相手方にも連帯して責任を負わせる場合には、次のような和解条項となります。(甲1が配偶者、甲2が不貞行為の相手方)

例:甲1及び甲2は、乙に対し、慰謝料として、連帯して金●●●万円の支払い義務のあることを認め、これを平成●●年●月●日限り、持参又は送金して支払う。

財産分与

2016年2月19日 / 

 夫婦の共同生活で形成された財産は離婚の際にきちんと分ける必要があります。これを財産分与といいます。
 財産分与の分与割合ですが、家庭裁判所では、現在、原則2分の1として運用されています。
 夫婦が結婚前から所有していた財産や相続等によって取得した財産は、夫婦が共同で形成した財産とはいえませんから、財産分与の対象とはなりません。例えば、自宅建築にあたって、夫が土地を父から譲り受けた場合、当該土地については財産分与の対象ではありません。

 財産分与は必ずしも離婚と当時に行わなければならないわけではなく、離婚してから2年間は財産分与を求めることができます。2年を経過してしまうと時効が成立してしまいます。