競馬の高額配当金に関する単純無申告事件の判決
2013年5月24日 カテゴリ:雑感・その他
ある男性が市販の競馬予想システムを改変して独自のシステムを作り利益を得ていたところ、はずれ馬券は経費に算入されないとして莫大な金額の配当金について単純無申告罪を問われた刑事裁判の判決言い渡しが今月23日にありました。
はずれ馬券は経費に算入されるとする弁護側と、経費に算入されないとする検察側の主張に対立がありましたが、裁判所は男性の受け取った配当金を雑所得としたうえで、はずれ馬券は経費に算入されるとし、これを前提として懲役2月執行猶予2年の判決を言い渡しました。(求刑1年)
この事件については平成25年2月9日付けの私のブログで意見を述べさせていただきました。男性のケースでははずれ馬券は経費に算入されると考えるのが常識的であると私は指摘しましたが、裁判所の判断も私の考えと同様のものになりました。
なお、報道によると男性は無罪を主張していたとのことで、担当弁護士のホームページにはその辺の記載がないのでよくわかりませんが、少なくとも無申告そのものについては争いがないようであり、男性が税務申告をためらった動機、経緯について一定の理解はできるものの、そのことから直ちに無申告について違法性がないとか、期待可能性がないといった判断は困難であり、無罪になることはないと考えられます。
男性が主張していた(とされる)無罪とはなりませんでしたが、男性側の言い分が全面的に認められたうえでの判断で、量刑についても求刑を大幅に下回るものであり、(なお、執行猶予期間については3年~5年となるのが実務の大多数です。)男性側の勝利ということができるでしょう。