訴状訂正書の提出
裁判所に訴状を提出した後、誤字脱字がみつかる等した場合に、かつては訴状の一部差し替えをしていたのですが、高松地裁では確か3~4年くらい前からこのような方法が認められず、「訴状訂正書を提出してください。」と言われるようになりました。
私が他の地域の弁護士と話をしたときにもこのような取扱が話題にのぼったことがあり、どうやら高松地裁だけではなく、他の裁判所でも同じ取扱がなされているようです。
こういった取扱に変更した理由は特に聞いてないのですが、弁護士としては不便に感じることがあります。
つまり、
・被告にとって、訴状とは別の訴状訂正書を参考にして訴状を訂正して認否を行わなくてはならなず、認否がやりにくい。(最近、私が預かった訴状には訴状訂正書が何通もついていました・・・・)
・訂正した訴状をそのまま訴状訂正書に添付することがあるが、そうすると被告への送付物が大幅に増えることがあり、郵便料金が増加して送達費用が増える。(大した金額ではありませんが・・・)
・上記のやり方で訴状訂正書を提出すると記録がムダに厚くなる。
と、簡単に思いつくだけでもこういったデメリットがあります。(どれも受忍限度内であると言われるとそれまでですが・・)
もしかすると「いったん裁判所に提出した訴状を差し替えるのは不公正」といった理由で訴状訂正書の提出を求めるようになったのかもしれませんが、正直私は「う~ん。そうかなあ。」と思ってしまいます。
裁判所からの訴状訂正の働きかけによってはそれが不公正となりうることはあると思いますが、(誤字脱字の訂正を働きかけたからといって不公正とはいえないでしょう。)公正さの判断要素はあくまで「働きかけた内容」であって、働きかけの結果、補正が訴状の差し替えでなされたか、あるいは訴状訂正書でなされたかによって大きな違いはないように思います。
このこと以外にも裁判所の諸手続のなかで、しばしば手間やコスト等を蔑ろにして、どうでもよいようなことをしていると感じることがありますが、それはまた別の機会に述べたいと思います。