破産手続における厚生年金基金の脱退時特別掛金の処理(3)
2013年5月19日 カテゴリ:破産・再生
ちなみに、A厚生年金基金の規約は以下のようなものでした。
① 未償却過去勤務債務と繰越不足金の合計額
② 純資産の最低積立基準額に対する不足額
の、未償却過去勤務債務と純資産の最低積立基準額を比較して、後者が前者を超える場合に②の金額、そうではない場合には①の金額が脱退時特別掛額となる。
甲会社の破産手続の場合、計算上②の金額が脱退時特別掛金となりました。(甲会社の破産財団から考えるとべらぼうに高い金額になりました。)
私の考え方ではもちろんのこと、破産実務Q&A200問に記載の見解を取るとしても、②の金額というのは過去に発生していた債権発生原因でも何でもないように思えます。
そうすると、この場合の脱退時特別掛金は破産手続開始前の原因に基づくものとはいえず、A厚生年金基金の脱退時特別掛金は劣後的破産債権として取り扱うべきであると考えられるのではないでしょうか。