その被害者請求を委任することは本当に必要か?
後遺障害等級認定のために被害者請求を請け負うとする行政書士等のサイトのなかには、いささか過度にその効果を喧伝していると思われるものがあります。
書面審理という後遺障害等級認定手続きの特質から、漫然と手続きの流れに身を任せた場合に、実態に即しない不当な等級になる可能性があるのは確かで、それを防ぐ必要があることはそのとおりです。そして、多数の弁護士には未だその点の認識が希薄であることもまた真実だと思います。
しかし、後遺障害等級認定のために、常に被害者請求をして追加の検査等を実施する必要性があるわけではありません。
行政書士等のサイトには「1級から14級まで実績あり」などと表記するものもあります。しかし、それらは本当にすべて被害者に金銭を負担させ(過大な報酬を請求するものもあるようです。)行政書士等が手続きを行う必要があったものなのでしょうか?
例えば、頭部外傷後、遷延性意識障害になってしまい寝たきりのケースであれば、別表第一第1級1号が認定されます。これは素人が手続きをしようとプロが手続きをしようと変わることはありません。もちろん事前認定でも変わりません。より軽い障害の場合でも、例えば、上腕骨骨頭骨折の後、肩関節可動域制限が健側に比して4分の3以下程度であることが明らかで、障害がそれに尽きるようなケースでは、別表第二第12級6号が認定されます。
こういったケースで追加の検査は不要です。病院同行も必要ありません。お金をかけて行政書士等に被害者請求を委ねてもお金の無駄です。
後遺障害等級認定に明るい弁護士であれば、このあたりのことも客観的な視点から助言できるのではないかと思います。