任意保険会社の支払基準と保険会社のコスト
2013年4月5日 カテゴリ:交通事故
交通事故被害者の損害について、対人賠償保険における保険会社(任意保険会社)の支払基準と裁判所の認定基準に大きな差があるということはご承知の方も多いのではないかと思います。(数多くのサイトで説明されているので、細かい内容についてはあえてここでは述べません。)
任意保険会社にとって、保険料収入が売上です。掛金が高ければ高いほど、あるいは保険に加入する人が多ければ多いほど売上は上がります。他方、保険金の支払は費用(コスト)です。
ですから、保険金の支払額が少なければ少ないほど、保険会社は利益が高くなることになります。
もっとも、任意保険会社が示談によって被害者に支払をした場合、自賠責保険からその支払基準に基づいて一定金額を回収することができるので、自社の支払額を自賠責保険から得られる金額より低くする意味はありません。
したがって、任意保険会社は、自賠責保険の支払基準により得られる金額をベースにして、これに自社の支払金額が近ければ近いほどそのコストが減少し、逆に、これより自社の支払金額が高くなれば高くなるほどコストが増加することになります。
ですから、任意保険会社は対人賠償保険の支払基準を自賠責保険の支払基準と同じものか、又はそれに極めて近いものとすることがその利益確保の点からは適切ということになります。
交通事故被害者の方はこういった観点から、任意保険会社が提示した損害賠償額の計算書を確認してみると興味深いことがわかるかもしれません。