高松総合法律事務所の法律ブログ

弁護士の処理事件件数とその内実

2014年11月8日  カテゴリ:弁護士

 近時、弁護士の広告で「相談件数○○○○件!!」「○○○○件処理の実績があります。」などとしているものが目につきます。要するに、数をもって自分がその処理に長けていることをアピールしているわけです。

 最近、一部弁護士による市民に誤解を与えかねない過剰な広告が問題になっており、こういった数をアピールする広告のなかには、どのようにその数をカウントしているのか等、信用性に疑問を差し挟まざるを得ないものもあるのですが、その点は措くとして、「処理件数の多さ=弁護士の能力、又は、処理の適切さ」という公式が成り立つわけではないことには注意が必要です。

 ネットでこのような記事(佐賀新聞)を見つけました。
 ある弁護士が、相手方との和解の際に、依頼者の同意を取り付けることなく和解することを認める処理を行っており、このことで、その弁護士は所属弁護士会から戒告の処分を受けたようです。
 さらに記事によると、この弁護士が2010~13年の4年間に依頼者から同様の処理を行った案件が2800件以上あったとのことで、計算すると1年に平均して700件以上の事件処理を行っていたことになります。

 通常の訴訟事件に限れば、おそらく弁護士1人の手持ち可能事件件数は30件~50件くらいで、それ以上の手持ち件数になると通常事件処理に支障をきたすと思われます。訴訟事件ではなく和解交渉事件であれば、訴訟ほど手間はかからないので弁護士の処理可能事件数はさらに大きくなりますが、それでも上記弁護士の処理件数は多すぎると思われ、通常の処理では間に合わないため、業務の効率化を優先して処理の適正さを後回しにしたものと思われ、そのことが弁護士会の処分に繋がったものと考えられます。

 このような例もあり、取扱事件数が多いから事件処理の適正さが担保されているというわけではありません。
 
 そもそも、弁護士の経験値は処理事件の数の多さよりも、当該事件にどのような真摯な姿勢で向き合って処理してきたかによって変化が生じるものと言えます。(このことは弁護士に限ったことではないかもしれませんが。)流れ作業のような簡単な仕事を何年、何十年続けていても弁護士としてのスキルはほとんど上がりません。

 取扱件数の多さ、特に、過大な件数を広告でアピールする法律事務所は、その事件処理の中身に留意することが必要であるといえるでしょう。
 

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