高松総合法律事務所の法律ブログ

嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする規定の違憲決定

2013年9月8日  カテゴリ:相続

 平成25年9月4日、最高裁判所大法廷は民法900条4号ただし書の非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分(以下「本規定」とします。)を憲法14条1項の平等原則に違反し、無効であると判断しました。

 最高裁の判断の骨子は、
1 本規定は憲法14条1項に違反し、違憲無効。
2 本規定は遅くとも(この事案における相続開始時の)平成13年7月から違憲状態だった。
3 当該違憲決定は、既に審判や合意等によって確定している法律関係に影響を及ぼさない。
というものです。

 このうち、上記2は従前の最高裁合憲決定との整合性を図ろうとしたものなのでしょうが、最高裁第二小法廷は平成12年6月相続開始事案で本規定を合憲と判断しており、(最決平成21年9月30日・裁判集民231号753頁)そうすると、例えば、平成12年12月相続開始事案における本規定の有効性はどうなるのか等、実務に若干の混乱を残しそうです。
 また、上記3の理由として最高裁大法廷は法的安定性を挙げています。実務の混乱を回避しようとした趣旨はわかりますが、なぜ、法的安定性が憲法上の要請である平等原則に優先するのか根拠が示されていません。本規定を合憲と判断した最決平成21年9月30日竹内裁判官補足意見は、同じく本規定を合憲と判断した最決平成7年7月5日における反対意見(本規定を違憲とする意見です。)について、「(反対意見は)本件規定の有効性を前提としてなされた従前の裁判、合意の効力を維持すべきであると述べるが、違憲判断の効力を遡及させず、従前の裁判等の効力を維持することの法的な根拠については、上記反対意見は明らかにしておらず、学説においても十分な議論が尽くされているとはいい難い状況にある。」と述べていますが、竹内裁判官の懸念はこのたびの違憲決定によっても残されたままとなりそうです。

 いずれにしても、今後注意すべきこととして
・平成13年7月以降の相続開始案件に関する嫡出子と非嫡出子の相続分は同じ
・ただし、既に合意が成立し、あるいは審判が確定しているものについてはその効力を争うことができない
ということが言えます。
 

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