高松総合法律事務所の法律ブログ

不貞行為を理由とする慰謝料請求訴訟

2014年4月25日  カテゴリ:男女問題・離婚

 ネットでこのような記事を見つけました。妻が夫との不倫を疑った女性に対して損害賠償請求訴訟を提起したところ、男女間に肉体関係がないにもかかわらず、賠償金の支払を命じた「驚くべき」判決があったというものです。
 この判決について、ある弁護士は記事のなかで「肉体関係がなくても損害賠償請求が認められるのは珍しい判決です。」とコメントしています。
 しかし、この記事も弁護士のコメントも違和感を感じざるを得ません。というのも、肉体関係そのものが裁判で認定できなくても不法行為があったとして慰謝料の支払いが認められるケースなんて珍しくもなんともないからです。
 
 裁判で男女間に肉体関係があったと認定されることは実はそう簡単ではなく、肉体関係が認定されるのは、
・肉体関係があったことについて当事者間で争いがない場合
・そのものズバリの証拠がある場合(例えば、性交渉の写真)
などといった場合です。

 「男女がラブホテルに一緒に入る写真」のみでは肉体関係が認定される可能性は低いでしょう。(もちろん肉体関係が認定される場合もあります。私が過去に扱った裁判でも、客観的な証拠は男女が一緒にラブホテルに入る写真だけだったいうもので、肉体関係が認定されたケースがあります。しかし、それは被告の弁解があまりにも荒唐無稽で、当事者尋問、証人尋問での説明がボロボロだったという事情によります。)

 「男女がラブホテルに一緒に入って何もないなんてことがあるのか。」という感想を持たれる方がいれば、それはそのとおりだと私も思います。ラブホテルに入りつつ肉体関係がないなどということは信じがたいとは思いますが、裁判では、ラブホテルに男女が一緒に入ったから肉体関係があると直ちに認定されるわけではないのです。
 とはいえ、肉体関係があったとの認定がないからといって慰謝料が否定されるわけではありません。証拠上、男女間の緊密なつきあいが認定できる場合には、肉体関係そのものの存在を認定できなくても、不法行為として慰謝料請求が認められることになります。
 そういった意味で、裁判の結論としては常識に反しないことになるものといえます。

 記事の事案は、同じ医療機器販売会社で大阪に勤務する男性と東京に勤務する女性が出張などで互いの地を行き来し、食事デートを重ね、また、花火大会や体育館でのバドミントンなどの交際を続けたというもののようです。記事には「プラトニック不倫」などと記載されていることからすると、おそらく裁判では肉体関係を否認し、単にデートを重ねただけであると主張したのでしょう。しかし、大人の男女が遠距離に居住しているにもかかわらずデートを重ねていることからすると、本当に肉体関係がなかったかどうかは極めて疑わしいと言わざるを得ませんし、少なくとも男女の緊密な交際の認定をするのに差し支えはなかったのではないでしょうか。

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