遺産の種類と遺産分割の要否
2015年6月8日 カテゴリ:相続
被相続人が相続開始時に有していた財産は原則としてすべて相続の対象となります。ただ,相続人が家庭裁判所の調停や審判を利用して遺産分割をしようとした場合,法的には遺産分割の対象から除かれるものがあります。例えば,預貯金等の金銭債権は,遺産分割の手続きを要せずして,法定相続人の相続分に応じて当然分割され相続人に帰属するとされています。(最判S29.4.8)(もっとも,実務上,家庭裁判所の調停ではこれを含めて遺産分割の話し合いをすることが通常ですし,審判でもすべての相続人が合意すれば遺産分割の対象に含めることができます。)(最決H28.12.19にて判例変更がありました。普通預金債権,普通貯金債権,定期貯金債権はいずれも遺産分割の対象となります。平成29年1月5日追記)
遺産の種類と遺産分割手続きの要否について,新判例も出ていることから,以下のとおり整理しておきたいと思います。
●個人向け国債
遺産分割が必要。(最判H26.2.25)
●委託者指図型投資信託受益権
遺産分割が必要。(最判H26.2.25)
MMF,MRFは金銭債権に準ずるものとして預金債権に近いものとして取り扱うのが妥当ではないかとの指摘あり。(「リーガル・プログレッシブ・シリーズ 遺産分割【改訂版】・青林書林・上原裕之他編」)
●株式
遺産分割が必要。(最判S45.1.22)
●口座に入金された投信の元本償還金又は収益分配金
遺産分割が必要。(最判H26.12.12)