定額郵便貯金と遺産分割
2013年2月4日 カテゴリ:相続
平成25年1月24日の記事で、私は「預金は相続人間の遺産分割を経るまでもなく、相続によって当然に分割されて権利を取得する」「そのため、本来、預金は遺産分割の対象ではない」「当事者の合意がある限り遺産分割の対象となる」ということを述べました。
原則としてはこのとおりでよいのですが、例外的に定額郵便貯金については取扱が異なります。
定額郵便貯金は郵便貯金法第7条1項3号で「一定の据置期間を定め、分割払戻しをしない条件で一定の金額を一時に預入するもの」とされており、相続開始後に各相続人が自己の相続分の支払い請求をすることができません。(ただし、定額郵便貯金は預入から10年が経過したら通常貯金となり、(同法第57条1項)自己の相続分の支払を求めることが可能となります。)
そのため、預入から10年が経過していないのであれば、定額郵便貯金は相続人間の準共有状態を解消しなくてはならず、遺産分割の対象となります。他の金銭債権と異なり、他の共同相続人との間の合意は必要ありません。
(最決H28.12.19にて遺産分割における預貯金債権の取り扱いに関して判例変更がありました。同判例の趣旨に鑑みると,定額郵便貯金も預入からの時期にかかわらず,当然に遺産分割の対象となるものと考えられます。平成29年1月5日追記。)