相続放棄の申述
2017年6月26日 /
例えば、父が死亡し、父に莫大な借金があって、借金を相続したくないといったときには、子は家庭裁判所で相続放棄の申述受理の申立てができます。
この相続放棄の申述受理申立ては、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に手続をとる必要があります。(熟慮期間といいます。)
この「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続開始原因及び自己が相続人になったことを知った時と解され、通常、被相続人が死亡したときからとなることが多いでしょうが、例えば、被相続人と長年交流がなく、被相続人死亡の事実をずっと知らなかったなどの場合には、実際に被相続人が死亡したことを知った日が熟慮期間の起算点となります。
もっとも、被相続人の死亡そのものを知っていたとしても、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じ、かつ、被相続人の生活歴,被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の事情があって、被相続人がそのように信じるについて相当な理由があると認められる場合には、熟慮期間は相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきとされています。(最判昭和59.4.27民集38巻6号698頁)