法律ブログ
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債務不存在確認訴訟

2016年3月17日 / 

 民事訴訟は、権利を主張する者が原告となって裁判所に申立を行うのが通常ですが、逆に、権利の主張を受ける者が原告となって権利の不存在を主張して裁判所に申立をすることもできます。
 これを債務不存在確認訴訟といいます。

 債務不存在確認訴訟においても、債権を主張する者が原告となる訴訟と同じく、債権を主張する者が債権の存在を証明しなくてはなりません。その証明が十分ではない場合には、裁判所が、債権が存在しないことを認めるという判断を下すことになります。

 債務不存在確認訴訟は、相手の要求が過大であるときや、そもそも全く根拠がないときいずれの場合でも可能であり、言いがかりを撃退する方法として有効な手段であるといえるでしょう。

仮処分

2016年3月17日 / 

 相手方による電話、面談要求、手紙などによる嫌がらせが著しい場合には、これらの中止を求める裁判手続を取ることができます。
 これらの対応は緊急性を要する場合が多く、そのため、裁判所が緊急的に中止の可否について判断を行う仮処分という手続を取ることが通常です。

時効期間について

2016年3月17日 / 

 債権の消滅時効期間について、民事上の債権は10年で(民法167条)、商事上の債権は5年(商法522条)というのが原則です。
 ですから、会社が金融機関から借り入れた貸金については原則として5年で時効となります。商人ではない債権者、例えば信用金庫、信用組合、農協、労働金庫などが、商人ではない個人に貸付をした場合には、商法522条の適用はないので、時効期間は10年となります。

 その他、民法では一定の債権について短期消滅時効期間を定めています。企業、事業者にとって重要と考えられるものの一部をピックアップしておきます。
●3年で消滅時効となる債権
・医師、助産師または薬剤師の診療、助産または調剤に関する債権

●2年で消滅時効となる債権
・生産者、卸売商人または小売商人が売却した産物または商品の代価に係る債権(売掛金債権)
・自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作しまたは自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権

●1年で消滅時効となる債権
・運送賃に係る債権
・旅館、料理店、飲食店、貸席または娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価または立替金に係る債権

解任取締役からの損害賠償請求

2016年3月16日 / 

 取締役はいつでも株主総会決議をもって解任することができますが、解任された取締役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対して解任によって生じた損害の賠償を請求することができます。(会社法339条2項)
 損害賠償請求の可否は「正当理由」の存否にかかわり、その存否が重大なファクターとなるわけですが、裁判例では、法令定款違反行為、職務への著しい不適任について正当理由を肯定する一方、主観的な信頼関係喪失、すなわち、株主の好みなどといった事情では正当理由を認めていません。

 賠償されるべき損害の範囲ですが、残存の任期期間の役員報酬がこれに含まれることは異論がありません。退職慰労金や賞与については裁判例で判断が割れています。

契約書作成の重要性

2016年3月16日 / 

 契約とは「相対立する複数の意思表示の合致(申込みと承諾)によって成立する法律行為」と定義付けることができます。例えば、商品Aを売る、買うという合意や、物件Bを有料で貸そう、借りようという合意も契約として位置づけることができます。
 この契約は、保証契約等一定の例外を除き、原則として、口頭でも有効に成立し、文書として作成しなければならないものではありません。

 しかし、ビジネスの重要場面において、契約を書面で作成することは極めて大切であるといえます。
 一般的に契約書作成のメリットは次のようなものが挙げられます。
 ①合意内容の証拠化
 ②契約当事者の意思内容の明確化
 ③ビジネス特有のリスクを考慮したリスクコントロール
 特に、①について、合意内容を証拠化できていないと、後日紛争が生じた場合に合意の存在を立証できず、裁判上で権利救済を図ることもままならないということになりかねません。

 ビジネス契約書作成にあたっては、ⅰ)自社の権利義務をどのように確保するか、ⅱ)相手方当事者とのパワーゲームをどうするか、ⅲ)コンプライアンスの確保といった視点が大切です。弁護士はⅲ)については理解しているものと思われますが、ⅰ)ⅱ)の問題は弁護士のみでは事情がわからないことも多く、社内の担当者も交えて検討することが必要です。

離婚のための手続

2015年11月23日 / 

 離婚のための手続には①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚があります。(審判離婚という制度もありますが、実務上ほとんど利用されていません。)
 このうち②と③が家庭裁判所を利用した離婚手続きです。
 

協議離婚について

2016年3月4日 / 

 協議離婚は、夫婦間の話し合いで離婚を決め、役所に離婚届を提出する方法によって離婚する離婚手続です。離婚手続のなかでもっとも簡易な方法です。
 離婚届を提出する際に子の親権をきちんと取り決めておく必要があります。

調停離婚について

2016年3月4日 / 

 調停離婚は、裁判所の調停委員を介して夫婦間の話し合いが進められます。調停委員が夫婦からそれぞれ個々に話を聞く形で話し合いが進められるので、原則として夫婦が顔を合わせることはありません。(ただし、近時は手続の進捗を確認する際に調停当事者の同席を求める運用をしていることがあります。また、調停終了時には原則として当事者同席のもと、調停条項を確認します。)
 調停離婚はあくまで夫婦間の合意で離婚をする手続きですので、合意に至らない場合は離婚は成立しません。合意に至らない、調停不成立の場合、さらに離婚を求めるためには裁判離婚を検討しなくてはなりません。
 基本的には弁護士に依頼することなく本人のみで進められる手続ではありますが、調停運営に問題のあるケースもあり、そういった事案、あるいは、複雑な法律問題含みの事案、当事者間の感情的対立が特に激しい事案、裁判離婚を視野に入れている事案などについては弁護士に依頼したほうが望ましいといえるでしょう。